第19頁 独立の季節を彩る「チレス・エン・ノガダ」【メキシコ発】

写真:Anheli / CC BY-SA 4.0

メキシコ市、2026年9月14日 —メキシコでは独立記念日の時期を迎え、伝統料理「チレス・エン・ノガダ」が市場やレストラン、家庭の食卓を彩っている。旬の食材を使うため主に8~9月に作られ、国の歴史や文化を象徴する料理として親しまれている。

 チレス・エン・ノガダは、大ぶりの青唐辛子チレ・ポブラーノにひき肉や細かく刻んだ果物などを詰め、クルミを使った白いソース「ノガダ」をかけ、赤いザクロの実と緑のパセリを添える料理。緑、白、赤というメキシコ国旗の3色を皿の上に表現している。唐辛子を直火で焼いて皮をむき、旬のクルミやザクロなどを使うのが伝統的な作り方だ。

 料理研究家で教員のカロリナ・メディナ氏は、この料理について「私たちの歴史や文化、スペインとのつながりを物語っている」と説明する。季節性も魅力の一つで、クルミや桃などが市場に出回るのを心待ちにする人も多いという。

 材料費は決して安くなく、今年、家庭で10個作る場合は1,100~1,300ペソ(約62~73ドル)。市場や庶民的な店では1個150ペソ(約8.4ドル)程度から、高級レストランでは500ペソ(約28ドル)を超える。それでも独立を祝う8~9月には、多くの家庭や飲食店でこの料理が作られる。

 起源を巡っては、1821年にプエブラのサンタ・モニカ修道院の修道女たちが、メキシコ独立を達成したアグスティン・デ・イトゥルビデをもてなすために考案したという説が広く知られている。ただ、それ以前にも類似した料理の記録があり、料理史研究者からは異論も出ている。メディナ氏は「多くのメキシコ料理と同じように、噂話から生まれた料理」と笑う。真相は定かでなくても、緑、白、赤に彩られた一皿は今年も独立の季節を告げている。EFE

直火で焼いたあと薄皮を取り除いてから各種料理に使います(写真:El Mono Español / CC BY-SA 4.0)

チレス・エン・ノガダ(Chiles en nogada)は「ノガダ仕立てのチレ」、すなわち「チレのノガダソースがけ」のような意味になります。「ノガダ(nogada)」はクルミを主材料にしたソースを指し、その語源は「クルミ」(nuez)と同じく、ラテン語 nux にさかのぼります。

また、チレ・ポブラーノ(Chile poblano)は「プエブラ唐辛子」のことで、見た目はやや三角形で、深緑色をした大きめのピーマンといったところです。チレという名前ですが、辛味はほとんどなく、ピーマンのようなほろ苦さがあり、火を通すとやわらかく口当たりがよくなります。メキシコでは日常的な食材で、中にチーズを詰めて揚げた「チレ・レジェーノ」にしたり、焼いたものを細長く裂きクリームと合わせた「ラハス・コン・クレマ」にしたりして食べられています。(編集部)

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